たいしたことない発見

携帯を落とした。バイクに乗っているときに、ポロっと。

その瞬間は全く気付かなかった。ぱちーん!

音がしたような気はしたが、何か踏んだのだろうと気にしなかった。20分くらい後に携帯で時間を確認しようとしたときにようやく気付いた。あの時落としたんじゃね、やっばいねって。それから、ぱちーん!の音がした時の記憶だけを頼りに、道路を探しに探した。みーっつけた。車に踏まれまくって、カメラも画面もバッキバキ。画面はつかない。けど、音はなる。画面は真っ暗の状態での、LINEの通知音はすごい。誰がこの時間に何の用で何行くらいで連絡してきたんだろう。幼い時に朝早く起きてカブトムシを捕まえに行ってた時ぶりの止まらない好奇心。自販機の下に500円玉が落ちてるけど、あとちょっとのところで腕が届かないような、返信したくても返信できないもどかしさ。そして何よりも、同じ状況に陥った人にしか意識して聞いたことがないであろう、充電のコードをさした時の、ぷぉぉーん。ひらがなのぷぉぉーんって感じの音。

 

何かを失っても何か得るものがあるかもしれない。得る何かが何かはわからない。かっこいいようで実は、少年の探求心と賤しさとずる賢さ、それから正確なぷぉぉーんの音を手に入れた、携帯を犠牲にして、みたいなお話。

 

人生っていろいろと持ち物を交換していく遊びなのかもって思いました。